2009年3月10日火曜日

うたかた/サンクチュアリ




よしもとばななさんの代表作といったら、やっぱり「キッチン」や「哀しい予感」「アルゼンチンババア」を思い出す人も多いかと思います。

わたしも、初めてのよしもとばななは「キッチン」でした。
この「うたかた/サンクチュアリ」は先日生協で目について購入。



複雑な家庭環境の中、これまで会わずに育った「兄妹」が出会った瞬間から恋を育む―。
互いに愛する人を失った男女が出会い、やがて何かに導かれるようにして寄り添ってゆく―。
運命的な出会いと恋、そこから生まれる希望や光を、瑞々しく、静謐に描き、せつなさとかなしい甘さが心をうつ珠玉の中編二作品。明るさのさしこむ未来を祈る物語。




ありそうでなさそうな設定の中でも、情景が目に浮かんでくる。
読み易い文章がするすると入ってきて、非日常のなかに浸ることができます。


読み易いけれど、内容はけっこうな重さ。
それぞれの事情を抱えた人々が葛藤し、交流し、そこにさまざまな感情が生まれてゆくようすが描かれています。
家族や恋人を愛することの難しさ、喜びが、ひっそりと伝わってきます。



分量も多くないからちょっとした息抜きや空き時間に読むのもぴったり。
予定がなくて暇な日にひといきで読み切るのにもぴったり。
ハッピーエンドで甘いだけの恋愛小説に飽きた方は、ぜひどうぞ。


(みき)

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