2008年1月14日月曜日

「サウス・バウンド」(奥田英朗)



中野の小学校に通う主人公の父親は元・過激派。
税金は払わないし、集金の人とはいつも大喧嘩。
子供たちにも「学校なんて行くことはない」と常日頃言うような、
一風変わった人である。
家族以外の人と揉めるのなんて日常茶飯事。
そんな父が東京を飛び出して沖縄に移住すると言い出した―。

この作家さんの本、結構好きなんですが
この本は帯にあった「過激派」という言葉がひっかかって
なかなか手に取らずにいました。
なんだか小難しい本じゃないの?面白いの?と。
ところが読み始めて、500ページを越す大長編なのに、
気づけば一気に読んでしまっていました。

小学生の主人公の目線で描かれているので、
読者も一から色々なことを学べます。
「国」とは何か?「政府」とは何か?
人間にとって正しい生き方とは?
普段はなかなか意識することの少ない問題です。
それがこの作者の軽妙な語り口で、
わかりやすく且つ生き生きと描かれています。

きっとこんな人がお父さんだったら主人公みたいに毎日疲れるだろうなぁ、
と思う反面、
こんなに自由で束縛されない人間らしい生き方も素敵だなぁ、
と思ったのでした。

(美南アルファ)

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